この記事では、クローン病の診断時や、経過フォロー中に受ける可能性のある検査について、書いてみたいと思います。
書きながら少し困ったことがあります。いち患者として筆者個人の意見や感想を書くか、いち医師として中立な立場から一般的な情報を提供するか。
一般的な情報は、WEBや教科書に記載があると思います。ここでは、いち患者の立場から、実体験を綴りたいと思います。少し偏った印象を持たれるかもしれませんが、ご容赦ください。
診断のための精密検査
クローン病と診断された際のお話になります。
腹痛が続いた筆者は、2003年にとある市中病院の総合内科を紹介されて受診しました。そして、外来通院にていくつか精査を受けました。
簡単な流れですが、初診当日に血液検査を受け、続いて腹部造影CTを受けました。そして、後日それぞれ別日に、小腸X線造影検査と大腸内視鏡検査とを受けました。
この記事では、小腸X線造影検査について取り上げたいと思います。なぜかというと、とても強烈な印象が残っているからです。まあ、嫌な経験ほど強く印象に残りますよね(笑)
なぜ受ける必要があるの?
小腸X線造影検査ですが、造影剤(バリウム)を口側から肛門側に向かって流し、X線撮影をする検査になります。
なぜこの検査は必要なのでしょうか?
クローン病は消化管のどの部位にでも炎症が起こる病気ですから、小腸にも病変が起こる可能性があります。
長さ6mを超えるといわれる小腸の、潰瘍や狭窄といった病変を広範囲に検索し、全体像をとらえるのに小腸X線造影検査が適しているからです。
検査の種類
小腸X線造影検査には造影剤をどう消化管に入れるかで、経口法とゾンデ法(経管法)とがあります。
経口法では、造影剤を飲んでX線撮影します。
ゾンデ法では、チューブを嚥下して消化管内へ進め、腸から造影剤を流してX線撮影します(参照:おなかの健康ドットコム)。
検査はツライ
ここからは、筆者の実際の体験したお話になります。
ゾンデ法による小腸X線造影検査を2003年に受けました。
正直なところ、このゾンデ法による検査は、これまで経験した検査の中で一番ツライものでした。
こんなこと書くと、これから小腸X線造影検査を受ける方々に恐怖を与えることになって大変申し訳ないのですが、、。
ただ、この記事を読んでいただいた皆様には、ツライ検査にはある程度の覚悟を持ってのぞんでいただき、「思ったより楽勝だった!」と後で思ってもらえることを期待します。
後日、記載することにしますが、経口法による小腸X線造影検査は比較にならないくらい楽な検査です(笑)。
検査の流れ
さて、ゾンデ法の大まかな流れです。
鼻から十二指腸までチューブを挿入して造影剤を流します。
チューブはそれほど太くはありません。局所麻酔薬であるキシロカインゼリーをつけてから、鼻腔から挿入されます。
喉元にきたら術者の合図を受けて飲み込みます。その後は術者がX線画像を確認しながらチューブを十二指腸まで進めていきます。
手技の難しさ
言葉では簡単ですが、チューブを胃に到達するまで挿入してから、幽門輪(参照:おなかの健康ドットコム)を通過させ十二指腸に到達させるのは、難易度の高い手技といわれています。
チューブは、胃カメラとは違って、術者手元の操作で簡単に意図した方向に進むわけではありません。
また、チューブでは消化管内の実際の画像をみながら操ることはできません。X線画像で位置を把握しながら進めますが、少し手探りなところもあると思われます。
補足になりますが、画像を見ながら自在に操ることができる胃カメラでも、幽門輪を通過するのに手間取ることがあるくらいです(参照:日経メディカル)。ましてチューブではなおさら、、といったところでしょうか。
涙が出るほど
筆者が初めてこの検査を受けた時は、何度やっても幽門輪を通過せず、、、
術者も手を変えて何回かトライしているようでしたが、通過せず、、、焦りが感じられました。
こちらはチューブを何度も出し入れされるので、鼻も喉もすれて痛いわけです。
「しんどい」という旨を訴えるわけですが、「入らないと検査できませんよ!」と強い口調で言われれ、、、
「いやいや、こっちが何か悪いことしたか?」と心の中でつぶやきながら、鼻や喉の痛みもあり、涙する始末でした。
最終的に
何とかチューブが十二指腸に入り、バリウムを流し。
その後は、術台の上で左右に体を傾けたりうつ伏せになったり、孫の手の様な機械アームでお腹を押さえつけたりして撮影が進みます。
また、チューブから空気を何回か送りながら同様の撮影が繰り返されます。
結局、検査は2時間近くかかったのでしょうか、終わった時はヘトヘトでした。
経口法は楽勝
このゾンデ法による小腸X線造影検査ですが、幸いにも2021年現在まで、この1回しか受けたことがありません。
後にもう1回別の病院で、小腸X線造影検査を受けることになりましたが、その際は経口法でした。バリウムを飲むだけなので痛くも痒くもない。
まとめ
少し感情的な記載になってしまいましたね。
あくまで筆者の体験としてご理解ください。
きっと、ゾンデ法でもチューブの挿入がスムーズにいき、楽に検査を受けることができた方はいらっしゃるのだと思います。
皆様にとって何かの参考になりますと幸いです。