2021年も明日から4月になります。いよいよ新年度ですね!クローン病患者さんで明日から社会人、もしくは新しい職場という方もきっとおられるでしょう。筆者のこれまでの記事、「メンタル管理」や「体調管理」をぜひ参考にされて、不安やストレスの多い新生活をのりきってください。ちなみに、筆者はこの一年を何事もなく生きられるように、ぼちぼちやっていこうと思います(笑)。
コロナの影響!確定申告の期限が延長されます
そういえば2020年分の確定申告の期限が2021年4月15日まで延長されたそうです(参照:国税庁「報道発表資料」)。2020年分の確定申告がまだ間に合う今だからこそ、医療費控除のお話をしたいと思います。
あなたは医療費控除が受けられる?
医療費控除を申請したことがないというクローン病患者さんは、ぜひご自身の医療費を確認してみてください。もし年間10万円超えるようでしたら医療費控除を受けられる可能性があります。つまり、確定申告をすると納税額から一部返金を受けられる可能性があるということです。
クローン病の通院や治療にかかるお金って本当に高いですよね。多くのクローン病患者さんが生物学的製剤(レミケードやヒュミラ、ステラーラ、エンタイビオ)を使用していると思います。指定難病患者への医療費助成制度(参照:難病情報センター「医療費助成における自己負担上限額」)を受けたとしても、年間にすると数十万円の医療費負担となるのではないでしょうか。
医療費控除を受けるためには確定申告が必要
筆者は勤務医なのでサラリーマンですが、医療費控除を受けるため欠かさず確定申告をしています。サラリーマンの場合、年末調整を会社が行ってくれるので、確定申告を行わない方もおられると思います。しかし、クローン病患者さんであれば医療費控除を受けるために、確定申告は行ったほうが良いでしょう。つまり、会社の年末調整の後に、決められた期間に確定申告を個人で行うことになります。例えば、2020年分(1月から12月まで)の所得に対する確定申告の期間は、2021年2月16日から4月15日までです(参照:国税庁「令和2年分確定申告特集」)。
医療費控除のしくみ
さて、医療費控除って具体的にどういう仕組み?という方もおられるかと思います。以下に国税庁のホームページにある医療費控除の概要を引用します。ここで分かるのは、例えばクローン病の自分自身にかかる医療費以外に、同一生計内の配偶者や親族にかかる医療費も合算することができる、ということです。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
医療費控除申請の基準額
では続いて、「医療費が一定額を越えるとき」という申請の基準に関してです。同様に国税庁のホームページから引用します。クローン病患者さんは医療保険に入れない場合も多いと思いますので、ここでは(1)の額は省略します。とすると、下記計算式からは、おおよそ年間10万円を超える医療費に関しては、医療費控除を受けることができると考えられます。
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計額)ー((1)の金額)ー((2)の金額)
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)一部改変して使用
(1)保険金などで補てんされる金額
(2)10万円
実際にどれくらい戻ってくるの?
例えば、夫婦とその子供一人の家庭だとします。夫がクローン病患者として、医療費助成の自己限度額上限が2万円だとします。年に7回の通院治療でそれぞれ自己限度額上限の2万円を支払ったとします。すると、夫だけで合計14万円の医療費となります。すると、14万円ー10万円=4万円分の医療費控除が受けられることになります。
では、夫が確定申告するといくら返金されるでしょうか。下記の計算式で求めます。所得税の税率が20%(参照:国税庁「所得税の税率」)だと仮定すると、4万円×(20÷100)=8千円の返金を受けることができます。妻や子供の医療費も合算できますから、実際はこれよりも多くの返金を受けることができるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?サラリーマンでも、医療費控除は受けたほうが良いですよね。ですから、年末調整後に、個人で確定申告をされることをお勧めします。クローン病患者さんであればなおさらです。個々の状況に応じて実際の計算方法や税率等は変わりますので、詳細に関しましては国税庁ホームページをご確認ください(参照:国税庁「医療費控除を受ける方へ」)。
さて次は、記事を変えて、医療費控除に申請できる「具体的な項目」についてお話ししたいと思います。ではまた。