【IBD】免疫抑制薬使用中の新型コロナワクチン接種について

免疫抑制薬使用中の新型コロナ(COVID-19)ワクチン接種に関する情報を検索しました。

この記事では、筆者が集めたいくつかの情報を共有したいと思います。

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免疫抑制状態でのCOVID-19ワクチン接種について

免疫抑制薬使用中にCOVID-19ワクチンを打って大丈夫でしょうか?」という疑問は多いと思います。

日本の各学会からの見解を引用したいと思います。

「難治性炎症性腸疾患に関する調査研究」班. 日本炎症性腸疾患学会から(2021年2月時点)

日本では優先接種対象となる基礎疾患として「ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている」が挙げられていることから、免疫抑制状態でも新型コロナウイルスワクチンの接種は可能です。

出典:厚⽣労働省科学研究費 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸疾患に関する調査研究」班. 日本炎症性腸疾患学会.『IBD 患者における新型コロナウイルスワクチン接種に関するQ&A 2021年2月15日 第1版』

日本リウマチ学会から(2021年2月時点)

現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響はわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきと考えます。

出典:日本リウマチ学会『新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて(患者様向け情報)』

日本腎臓学会から(2021年4月時点)

COVID-19 ワクチンは⽣ワクチンではないため、免疫抑制薬使⽤中でも接種が可能です。

出典:日本腎臓学会『腎臓病で免疫抑制療法を受けている患者さんへのCOVID-19ワクチン接種に関する見解について』

小括

2021年4月時点、引用した日本の各学会は、免疫抑制薬の使用中でもCOVID-19ワクチンの接種は可能との見解を示しています

COVID-19ワクチンと炎症性腸疾患治療薬

COVID-19ワクチン接種前後でIBD治療に使用している薬剤はどうしたらいいの?」という疑問も多いと思います。

日本では、COVID-19ワクチン接種に際して、IBD治療に使用している各種薬剤はどうするかの具体的な見解は示されていません(2021年4月時点)。

ここでは、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology: ACR)の発表記事を引用して見ていきたいと思います(ACR COVID-19 Vaccine Clinical Guidance Task Force. COVID-19 Vaccine Clinical Guidance Summary for Patients with Rheumatic and Musculoskeletal Diseases.)。

米国リウマチ学会から(2021年4月時点)

米国リウマチ学会(ACR)から、リウマチおよび筋骨格疾患患者さんにおける、COVID-19ワクチン接種および免疫調節薬の使用とタイミングに関して下の図のように発表されています(2021年4月時点)。

炎症性腸疾患でも使用している薬剤も含まれますので、参考になると思います。

出典:ACR COVID-19 Vaccine Clinical Guidance Task Force. COVID-19 Vaccine Clinical Guidance Summary for Patients with Rheumatic and Musculoskeletal Diseases

炎症性腸疾患でも使用されている薬剤をピックアップ

米国リウマチ学会(ACR)の見解から、IBDでも使用されている薬剤を抽出して、参考にしたいと思います。

COVID-19接種に際して、
 各種薬剤の使用日も、ワクチン接種日も調整する必要がないとされる薬
ステロイド剤、サラゾスルファピリジン、アザチオプリン(アザニン®︎、イムラン®︎)、タクロリムス、抗TNF-α抗体製剤(レミケード®︎、ヒュミラ®︎、シンポニー®︎)、抗IL-12/23p40抗体(ステラーラ®︎
COVID-19接種に際して、
 ワクチン接種後1週間は服用しない、ワクチン接種日を調整する必要はないとされる薬
Jak阻害薬(ゼルヤンツ®︎

COVID-19ワクチン接種が炎症性腸疾患へ及ぼす影響(2021年2月時点)

新型コロナウイルスワクチンの炎症性腸疾患への影響は不明です。まず、現時点では新型コロナウイルスワクチンによる重篤な消化器系の副作用は報告されていません

出典:厚⽣労働省科学研究費 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸疾患に関する調査研究」班. 日本炎症性腸疾患学会.『IBD 患者における新型コロナウイルスワクチン接種に関するQ&A 2021年2月15日 第1版』
現時点では、COVID-19ワクチンがIBDの病状を悪化させるという報告はないようです。
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筆者のCOVID-19ワクチン接種の体験(2021年4月)

筆者はクローン病で、レミケードによる治療を受けています。

ワクチン接種を2回終えましたので、その体験を共有したいと思います。

COVID-19ワクチン(コミナティ筋注)1回目接種(2021年4月)

1回目の接種後は、頭痛と接種部筋肉痛の副反応が出ました。

頭痛は接種から1時間〜26時間後まで続きました。
ズキズキする持続する痛みで、ひどい時は4/10の痛みでしたので結構辛かったです。

接種部筋肉痛は動かすと痛みを感じるくらいでした。
頭痛と同じ時期には治りました。

クローン病への影響を疑うような腹部症状は認めませんでした。

COVID-19ワクチン(コミナティ筋注)2回目接種(2021年5月)

2回目の接種後は、意外なことに副反応はほぼありませんでした

接種後の30分間は接種部の疼痛がありました。
あとは、接種後から3時間後くらいまでは少し体が熱く感じて、最高37.2℃。

それ以外は、全くといっていいほど副反応はありませんでした。

COVID-19ワクチン接種→翌日にレミケード点滴

偶然、ワクチン接種の翌日が、レミケード予定日でした。

当日に血液検査をしていますが、COVID-19ワクチンによる検査データへの影響はみられませんでした。

当日に、担当の先生に確認しましたが、「レミケード点滴は予定通り行っても問題ない」との見解でした。

無事に接種して帰宅しています。

小括

筆者はクローン病で免疫抑制薬を使用中で、COVID-19ワクチンの接種を2回受け終わりました。
幸いにも、重篤な副反応は経験しませんでした。

COVID-19ワクチン2回目接種の翌日に、レミケード点滴を受けましたが、特に問題なく終了しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

IBDのみなさまが、COVID-19ワクチン接種を受ける際の、参考にしていただけますと幸いです。

ではまた。

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