クローン病〜レミケードって何?〜投与を受けるか迷っているあなたへ

初めまして。医師でクローン病患者のtoroです。2021年でクローン病歴が20年近くとなりました。クローン病患者としてこれまで経験してきたことや、困ったことなどを中心にみなさまと情報を共有していければと思っております。よろしくお願いします。

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レミケードとは?

レミケード(一般名インフリキシマブ/参照:KEGG)は遺伝子組み換え技術により作られた腫瘍壊死因子(TNF)αに対する抗体製剤です。

1998年以降、TNFαが関与する炎症性疾患に使用されてきました。日本では2002年にクローン病に承認されて以降、2003年に関節リウマチ、2007年にベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎、2010年に乾癬や潰瘍性大腸炎などに承認されています。

レミケードの特徴はキメラ(異種タンパク質結合)抗体であることです。レミケードがTNFαに結合する部分(抗原結合可変領域)はマウス由来で、それ以外の定常領域はヒト由来で構成されます。レミケードの利点は、TNFαとの結合が強力かつ非可逆的で、治療効果が高いことにあります。

効果減弱について

レミケードが生涯に渡って効果を発揮する薬であれば問題ないのですが、使用とともに効果減弱がみられることが報告されています。

人は体に入った異物を免疫で排除することによって恒常性を維持しています。レミケードを構成するマウス由来蛋白は人にとって異物であり、体内から排除するために中和抗体(レミケードに対する抗体)が作られることが影響していると考えられています。

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効果減弱への対策

レミケード反復投与による効果減弱を防ぐために、クローン病ではアザニン(一般名アザチオプリン/参照:KEGG)が併用されることがあります。アザニンは免疫抑制薬です。自身の免疫を抑制することで、体内で中和抗体が作られるのを抑制する効果が期待されます。

詳細記事

「レミケードが効かなくなったら」という不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。 この記事では、具体的な対応についてみていきたいと思います 主には、以下の3つです。 ・レミケード投与方法の工夫 ・他の薬剤を併用 ・別の薬剤に変[…]

筆者の体験と想い

筆者は2019年よりレミケード治療を受け始めました。

レミケードが1998年から全世界で使用され、2021年現在も主流の抗TNFα抗体であることは間違いなく、この点がレミケード治療を始める際に信頼できる判断根拠となりました。

筆者は2021年3月まででおおよそ2年間、計16回のレミケード治療を受けました。そして、16回目レミケード後にこの記事を記しています。

炎症蛋白であるCRPが少し上がっており、効果減弱の可能性も考えられるため、不安を抱いています。

クローン病は診断がついて治療をしたら完治という疾患ではありません。長く付き合っていく必要があり、その長期経過における体験談は非常に貴重な情報になると考えます。

今後も筆者自身の体験談を報告していきたいと思います。

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